ダイナミックフィギュア

2011年10月17日 (月)

ダイナミックフィギュアの作り方 8(最終回)

ダイナミックフィギュアの作り方7からのつづき
最初からお読みになりたい方はこちら

 『ダイナミックフィギュア』は今年の2月に早川書房から発売された、巨大ロボットの運用を真正面から取り上げた、三島浩司さんのSF小説です(上下巻)。僕がカバーイラストを担当しました。

 そのメイキングをブログで連載したのですが、最近もブログへのアクセスに「ダイナミックフィギュア」をキーワードにしてこられる方がけっこうな数おられるので、ここらで最終回を。


 今年の9月3日〜4日に静岡で開かれた『第50回日本SF大会』用に作ることになった「サイン帳アプリ」(無料。申し訳ありません。iPhone、iPad専用です)には、僕の作品が数点、メイキング簡易アニメ付きで収録されており、『ダイナミックフィギュア』のカバーイラストと、ダイナミックフィギュアの身長や形状を検証した画像やアニメも入ってます。

 ダイナミックフィギュアという名の巨大ロボットをデザインするにあたって最初に考えたことは(この連載の最初のほうを読んでいただけば書いてありますが)巨大ロボットにつきものの大きな足だけは描きたくない。そして地上で素早く行動できる脚や足の形はどんなものが良いのだろうか、ということでした。

 そのアプローチの結果が、『ダイナミックフィギュア』なのです。現在続いているパワードスーツについての記事と一緒に観ていただければ幸いです。

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画集アプリでダイナミックフィギュアの画像を表示中に、ツールバー(画面のロングプレスでオン・オフ)左端の『 i 』(インフォメーション・アイコン)をタップ
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右下に出る「渦巻き」模様のアイコンをタップすると、メイキングの簡易アニメの再生が始まります。
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カバーイラストのメイキング簡易アニメーションのスクリーンショット▼
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おなじく「人間との対比」の図▼
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「人間との対比」の図 メイキング簡易アニメーションのスクリーンショット▼
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*このアプリには、今年の星雲賞受賞作、マイクル・フリン『異星人の郷』(東京創元社)のカバーイラストも、メイキング簡易アニメと一緒に収録されています。


2011年3月 2日 (水)

ダイナミックフィギュアの作り方 7

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ダイナミックフィギュアの作り方を最初から読みたい方はこちら

●発売前の特集いろいろ

 SFマガジン2010年12月発売号に先行で紹介された導入部のための挿絵を描き上げた直後の12月21日。ぼくは、カバーイラストを描く作業に入っていた。締め切りはひと月後。2011年の1月末である。

 といっても、ほんとうの1月の末だとそれでは進行上はギリギリで、少し前に仕上げてほしいということだった。 『ダイナミックフィギュア』(上下巻)の発売日は2月18日。2月は28日までしかないから、 「月末発売」 も少し繰り上がるのだという。

 まあ、他の仕事があるとはいえ、そんなにタイヘンなスケジュールではない・・・はずだったのだが。

 なんと、SFマガジンの2011年1月発売号の巻頭カラーページで 『ダイナミックフィギュア』 の特集を組むことになったのだ。そういえば、これまでにもハヤカワの 『Jコレクション』 は、発売に合わせてよく特集を組んでいたことを思い出した。そしてそれらの特集では、発売前の本のカバーイラストが掲載されていたことも。

   そんなー。締め切りから半月以上も前に、カバーイラストが完成するわけがない!

 そのときぼくは、本格的にカバーの作業に入る前に「人間とのサイズ比較」を描いていたところ。宇宙空間を飛ぶ巨大ロボット違い、ダイナミックフィギュアは、地面を歩いたり走ったりする。舞台は山の中ではなく(樹木を描くのがめんどくさかったのよ)、平地に設定していたから、基準となる人間とのサイズの比較と前もって知って (理解して) おかないと、あとで構図が破綻することがわかっていたからだ。

 通常はスケッチ程度のもので済ますのだが、それを特集ページのために仕上げることにした。

●人間との比較

 校正刷りを読んでいて、ダイナミックフィギュアの身長の数字に、ちょっと思い当たることがあった。
 ちょうどその1年前。2009年の12月26日に、ぼくはこんな図を描いていたのだった。


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ダイナミックフィギュアの作り方8(最終回)につづく


2011年2月22日 (火)

ダイナミックフィギュアの作り方6

●プラモデルを組み立てる

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 作業中は、眼鏡(近視用)を外さないと何も出来ないのデス↑

 いちばん細かいパーツは、数ミリの大きさ。
 床に落としたら、二度と見つかりません。

 じっさい何度かパーツが転がり落ちました。そんな時は自転車用に買った200ルーメンの懐中電灯が活躍します。その懐中電灯、配光パターンをコントロールできる優れもの。気分は警察の鑑識課。はいつくばって床のカーペットを舐めるように探したりしました。


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●完成したプラモデルを撮影する

 目の前にあるものを見ながらそのまんま忠実に描くのは、実はとっても簡単な作業。

 ただし。風景の場合は、

です。

 プラモデルのような縮尺模型は、傍に置いて見ながら描くと、人間の目の左右の視差の違い(立体感を作り出す)を頭の中で合成・補正しなくちゃなりません。←これが意外に難しいのよ。

 実物(実物大)の戦車を見ながら描く場合は、戦車の大きさに比べて人間の両目の幅なんてたいしたことないからねー。

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 撮影に使うレンズはできればズームがよいデス。

 今回のカバーイラストは、手前に90式戦車。ちょっと遠くに巨大ロボット。遠景に飛行船や山々、自衛隊の基地があるお寺の五重塔を同じ画面に配置するため「望遠」で描いていたから、資料の写真も望遠気味で撮れば(もしくは、撮影画面の中央を切り取るようにすれば)、最初に想定した距離感が崩れない。

 撮影してから絵の構図を決めるのではなく、あくまでも、絵ですべてを決めてから、それに合う写真を用意するようにする。これが大事。

 例えば。

 フラゼッタとボリスの違い。

 フラゼッタの絵は、スケッチと完成した絵はそんなに違わない。

 しかし、写真を参考にしないと絵が描けないボリスの場合は、スケッチと(写真をトレースして描いた)絵は、まったく違う。

 やっぱり、フラゼッタが、格は一枚も二枚も上。


 さて、次回からは、じっさいに絵を描いていったその作業過程を紹介していきます。

ダイナミックフィギュアの作り方7につづく

2011年2月 9日 (水)

ダイナミックフィギュアの作り方5

●カバーの作業開始
 
『ダイナミックフィギュア』 は上下巻。

 ただし、 「上下巻を書店で左右に並べたときに二冊で横長の大きな絵になる」 だけでなく、 「カバーが本の内側に折り込まれる部分」 にも絵を配置し、読者が本をめくったときにビックリ。ついでに、 「帯をめくってその下に隠れている部分」 にもビックリ。そのような演出を入れてほしいという・・・。

 いつもなら、そんな提案はこちらからすることが多いんだけど、今回は編集部側から。
 こちらもビックリ。

   へー  それは望むところじゃ

と、早川書房の会議室から出るとき既に、頭の中をいろいろな構想が駆け巡っていたのでありました。

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 まあいちど、SFマガジンの扉絵で描いていたし、巨大ロボットの足下に90式戦車を配置するととても 「絵」 になることがわかっていたから、それを基本に、画面の分割部分を決めていけばいい。

 というわけで、出来上がった絵がこれ。

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 これで決まりかな。
 でも、担当編集さんからは

   時間が無いし、加藤さんだから、複数のラフを用意していただくことも無いですね

と言われていたから、いちおう、ソレがベストであることを自分でも確認しておこうと描いたのが次の絵デス。

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 ちょいと上から見下ろした感じ。ダイナミックフィギュアは頭部の操縦席が取り外し式だから、その辺りのメカも詳しく見せたいカモ、というのがその理由。どうせプラモデルを買うんだし、上から見下ろした90式戦車(ネットでもさすがにそんな写真は見つからなかった)も絵になるかな、みたいな考えが頭をよぎったりシテ。
 ところが、この構図では、画面の中に飛行船をちょうど良い大きさで配置できないことに気付いたのだった。没にできるのが嬉しかったことを思い出す。

 そして3枚目。最後。
 もう、こうなると、自分でもやる気がないことは一目瞭然。ただ描いてみただけ、みたいな。

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 やっぱり、最初に描いた構図で行くことになったのでした。

ダイナミックフィギュアの作り方6につづく

 次回は、ネットで注文したプラモデルの組み立て作業に入ります。
 これが、老眼だと、キツイ作業の連続だったですよー。

2011年2月 4日 (金)

ダイナミックフィギュアの作り方4

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●参考用に90式戦車のプラモデルを注文

 ダミナミックフィギュアは自衛隊の巨大ロボット兵器。
小説のなかでは、現用兵器もいっぱい出てきます(戦場となるのは、四国の香川県)。
 
 巨大ロボットを巨大に見せるためには、やはり小説に登場する90式戦車との大きさの比較を絵にするのもイラストの役目。
 ところが近所の(西荻窪にある)ナカマ模型では品切れだったのです。
 でもSFマガジンに先行で公開される挿絵は、すぐに描かねばなりません。

 そこで、困った時の『グーグル 画像検索』。
 出てきた画像を片っ端からダウンロードします。
 しかし、それらの写真にも著作権はありますから、そのまま使うわけにはいきません。

 さいわい、人気のある戦車らしく、写真も動画もたくさんあり、自分が望んだ方向から撮影した、一枚の写真を参考に、少しずつ向きを変えつつ描き、レイアウトの参考にしてもらうために途中経過の画像を編集部にメールで送ったら、なんと作者の三島浩司さんから挨拶メールが!

 そして編集部から電話。
 それは三島さんからの伝言でした。

 ごらんのように、ぼくはかなり、ダイナミックフィギュアを人間に近いプロポーションで描いていたのですが・・・。

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 その伝言を聞いたとき、前回のブログで紹介したような「巨大ロボットをデザインする」をのちに書くことになった、世間にあふれている巨大ロボットたちとは違う、小説のイラストでしか描けないようなロボットをデザインを、これを機会にやってみたいという気持ちがムラムラと湧いてきたのでした(詳しくは、SFマガジンに掲載された三島さんのインタビューを読んでね)

 SFマガジンの締め切りはもうそこだったので、まずは、いっきに描き上げることになりました。ほんちゃんのカバーイラストの締め切りは半月後に迫ってました。

ダイナミックフィギュアの作り方5につづく


2011年2月 1日 (火)

ダイナミックフィギュアの作り方3

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●巨大ロボットのデザインを考える
 巨大ロボットを考えるとき、僕が思い浮かべるのは手塚治虫の『ガロン』だけど、最近の人はガンダム、エヴァンゲリオンかな。
 多くの人は、大きく開いた両脚をどっかり地面に据えた(地上に立った人間の視点からの)下から見上げた、巨大なぶっとい二本の脚、大きく横にせり出した肩のプロテクター、中央に大きく突き出した胸を持つ、アニメやゲームの世界の巨大ロボットを思い浮かべるでしょうが、ぼくはこれが苦手です。

 だから、『逆襲のシャア』のサントラのレコードジャケットを描いたとき、富野さんに「下半身は描きたくないので」「デザインそのものも四角いばかりで、描いててつまらないから、少し壊していいですか?」と許可を貰って絵を完成させた。

●巨大ロボットの足は小さくあらねばならない。
 以前から人型のロボット(パワードスーツでもいい)を考えたとき、一つのことを主張してきました。「人型ロボットの足は、小さくなければならない」。さもないと、一番の特徴である人型二本の脚で、走るどころか歩くこともままならないことになる。歩いたり、特に走ったりするときに左右の足がぶつかってしまうから。
 それを避けるためには、股や膝の関節を無理矢理、互いに避けるように円弧状に動かさねばならないし、それはとても非効率だし、パワードスーツの場合には中のひとの関節が耐えられません。
 自転車のポジションでも、ちょっとペダルの位置がずれてたり、膝の角度が曲がっていたら、関節に大きな負担がかかり、炎症を起こしたり、腱をいためたり、時には致命的な故障を起こしてしまう(自分で体験した)。

 パワードスーツじゃなく、ロボットなら人間のプロポーションを再現する必要は必ずしもないから、両脚の付け根の間隔を広げれば解決するだろうけど、それは人間のプロポーションとは大きくかけ離れ(『アバター』に登場するロボットのように)どたどた歩く爬虫類のバランスに近くなってしまう(速く走れば、逆に安定する)。
 特に、人間の動きをトレースするようなロボットなら(パワードスーツでもいい)、コンピューターが自動的に動きを補正すればいいと思われるかもしれないが、それでは、障害物の無い場所を歩いたり走ったりすることしか出来ない。
 僕だって、手足を家具にぶつけて悲鳴を上げることはしょっちゅうある。


 というわけで、『ダイナミックフィギュア』の仕事を引き受けたとき、(走ったり泳いだりするシーンがあるし)走ることができる脚を与えることにしたのです。

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●関節のこと
  現実に存在する大きなメカと言えば、工事現場で動くメカたちデス。
 特に長いアームを持ったメカの動きは鈍い。
 今の技術では、どんなに大きなトルクを備えたモーターでも、素早く動くことは不可能でしょう。
 そこで、ぼくは、走るときに関節などは動かさないで済む方式を考えた。
 素材そのものの反発を利用して、「跳ねる」脚。
 両脚を無くした人がカーボンの義足で記録に挑む、あの方式ですね。

 実はこれはとても昔からある考え方なのです。
 まだ自立二足歩行が実現する前の初期のロボットの中で、いちばん機敏に動いたのが、一本脚の「ホッピング」タイプでした。歩くのではなく、ぴょんぴょんと跳ねながら進んでいく。宙返りも思いのまま。
 ただし、メカそのものは、腰の横に固定されたアームで、ちょうど重心部分を支えていた。
 重心の移動が極限まで少なかったからこそ可能だったのデス。

●重心と反動
 日本刀を思い浮かべてください。フェンシングのそれとは違い、分厚い刀身はとても重く、これを素早く動かすためには、重心の移動を極限まで減らす必要があります。例えば、鞘から抜く時、刀身を引き出すのではなく鞘の側を後ろに落とす。刀を振り回す時は、重心を中心に、刃先と、(重心が点対称の位置にある)柄や腕のほうを動かすのデス。このとき、人と刀の合わさった重心の移動はとても滑らかなものになる。

 これは巨大ロボットでも同じだと考えました。
 パンチを打ち込むとき、その動きを打ち消す動作が必要となるだろう。そして、手刀を打ちおろすとき、その動きを打ち消すのは、二本の脚に支えられた胴体であり、そのすべてを引き受けるのは、地面となるが、これらを考えたとき、胴体の内部にジャイロがあると、動きで重心位置が大きく動かずに済むように四肢パーツが軽くても、相手にダメージを与えられる。
 ちょうどうまい具合に、今建設中のスカイツリーで使われているクレーンの映像も公開されましたね。強風の中でも回転しないクレーンのワイヤーに吊るされたメカは、「衝撃音」とともに、いきなり回転を止める。

●ちょっと脱線
 最近,テレビで『デスノート』を見ました。悲しいことに役者は、ハリウッド映画のように、拳銃を水平に持って撃ってました。このとき銃の反動を押さえ込むのは腕の重さだけであり、その腕は反動によって横方向に逸れるでしょう。拳銃の反動は、拳銃を持つ腕、それを支える肩、その肩を支えるのは、二本の脚がたっている地面なのデス。
 もっとも横になぎ払うように弾をバラ巻きたいのなら別だけど。

ダイナミックフィギュアの作り方4につづく

2011年1月29日 (土)

ダイナミックフィギュアの作り方2

画像は、カバーイラストを描くときにいちばん大事な、絵の印刷サイズ(発注書)。

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文庫や単行本でも、各社によってサイズはいろいろですから、これがないと作業が始められません。
ちょっと前に、早川文庫の『宇宙の戦士』がトール文庫されましたが、普通の文庫よりもかなり縦が長くなってます。

通常は重版のときに、カバーイラストを別のものに換えちゃうんだけど、さすがに『宇宙の戦士』ではそれができなくて(有り難いことでございます)、編集部から

  上下を延長していただけますか?

という連絡があったのですが、一昨年までだったら、

  はい、やります! いつまでですか?

なんてふうに普通に答えていたに違いありませんが、昨年のぼくは違うボクになっていたのです。

そう、『グイン・サーガ画集』を出すために、自分が過去に描いたアナログの絵を、デジタルで加筆するウマミを知ってしまっていたのでした。

『グイン・サーガ画集 カバーメイキング』

電話を受けた瞬間、いろいろな事柄が頭の中を駆け巡りました・・・。

『宇宙の戦士』の絵を宮武と二人で描いたのは1977年のこと。
何度も版たのです。ぼくはこれがとても気になってました。

だって、30年前の、自分の絵がまだまだ未熟だった時のとっても「下手な絵」のまま、あいかわらず世間には流通してるのです。『グイン・サーガ』も同じでした。なかにはとっても「恥ずかしい」絵もあったりして、アメリカで発売されたグインでは、こっそり「老将軍の顔」を加筆していたりしてたから(それが、画集では、総ての絵をもういちど考え直す切っ掛けになった)、これを機会に(人生、めったにあることじゃないのだ!←「文庫」が「トール」文庫に変更になる)、『宇宙の戦士』の口絵も挿絵も、ぜーんぶ、修正しちゃおうと考えたのでした。

ただし、宮武が担当したパワードスーツの部分だけはいっさい、いじらないことにして。


ダイナミックフィギュアの作り方3につづくけど、
『宇宙の戦士』の挿絵の修正についてはこちら


ダイナミックフィギュアの作り方1

今回から、早川書房から2月に発売される三島浩司さんの『ダイナミックフィギュア』のカバーイラスト制作メイキングを連載開始デス。

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  ぴろぴろぴろ・・・

ある日、早川書房編集部から電話。

  パワードスーツが出てくる小説のカバーイラストをお願いできますか?

そういわれちゃあ、何が何でも引き受けるしかありません。

  やりますやります! すぐに校正刷りを送ってください!

長さは1800枚。上下刊になります、とのこと。
こいつはまた、オイシイ仕事だー
好きなふうにメカ描いて、お金をもらえるんですから。

ぼくは、基本、小説を全部読んでから、カバーの絵を描くことにしています。
例えば,アメリカでは、昔は小説の内容に関係ないカバーイラストを使うことがよくあったそうで、
ぼくが、小説を全部読んでからイラストを描くといったら、とっても驚いた作家さんがいましたけど(オースン・スコット・カードさんです)、日本の出版美術の世界では、描写に忠実なのはもう、樺島勝一の時代から当たり前なのです。

例えば、武部本一郎さんの火星シリーズの挿絵は、フラゼッタのいい加減な(ゴメン)絵に比べれば、(だって、足が2本と書いてあるのに、フラゼッタは4本脚に描いてたりするのよ)驚くほど文章の描写に忠実で、感動モノでしたが、後に『ローダン』の依光隆さんが、

  ネクタイの柄までちゃんと考えて絵に描くよ

とおっしゃっていたのを聞いて、ああ、日本のイラストレーターは真面目なんだなあ、と。

んで。校正刷りがどーーん、と届いてその分量に愕然。前もって1800枚とは聞いていたけど、この分量は半端じゃない。

でも、基本,長い物語が大好きな僕としては、これは望むところ。
早速読み始めたのでした。

でも、ちょうどiPad画集の準備で、凄く忙しい時期だったのね。
しかも、パワードスーツの話じゃない。巨大ロボットが出てくる・・・
(面白かったから良かったけど。『宇宙の戦士』の導入部みたいに、戦闘シーンから始まってたし。)


そんなある日。
まだあんまり読めてない状態のときに、担当編集者さんから

  SFマガジンで物語の一部。戦闘シーンを掲載しますから、挿絵3点、よろしく!

(もう少し常識的な口調でしたが)

と連絡があって・・・。

だって、「読んでから描く」を信条にしているぼくでも、さすがにこれからこの分量を一気に読むなんてことは、到底無理。

そこで、全部を読み終える前に、絵を描くことになりましたが、ロボットの描写全部を洗い出していないわけで、一部は推測で描くしかない状況に陥ってしまったのです。

ダイナミックフィギュアの作り方2につづく


文章は時々遡って修正しています(^^)
誤字脱字の間違いはそのままになってるかも。