日本SF大会にむけて準備中
今年は7月27日、28日に大宮で開催されます。
僕の担当は、巨大なキャンバス2枚に描かれた、まだ未完成の絵を完成させることなのだった。これまでの経験からも、かなり大変なことが予想できます。
そこで、今年は秘密兵器を買ってきました。
(つづく)
今年は7月27日、28日に大宮で開催されます。
僕の担当は、巨大なキャンバス2枚に描かれた、まだ未完成の絵を完成させることなのだった。これまでの経験からも、かなり大変なことが予想できます。
そこで、今年は秘密兵器を買ってきました。
(つづく)
パ ノ ラ マ の 絵 。
僕は横長の絵がとっても好き。
出版の仕事ではほとんど描く機会がないから、 なんだけど。
今回は、高さ3メートル、幅1.5メートルです。画題は
戦艦大和、大破
第52回日本SF大会『こいこん』(2013.8.20-21に広島で開催)で行われた加藤直之ライブ・ペインティングの報告です。
垂直世界10 垂直世界の交通網からのつづき
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今日はずうっとインディアン。
昔のオートバイは、鉄の丸パイプの組み合わせで出来たフレームにパーツをくっつけているので、考え方は自転車と同じで描きやすいのだ。
昔のインディアンは(ノートンも同じだけど)フォーク(前輪を支える二股のパイプ)がトラス構造になっているだけでなく、イギリスの分割式自転車『モールトン』と似た構造のサスペンションを持ち(板バネを使っている)そのあたりを「発見」しながらの作業はとっても楽しいものになってます。
でも、今回は、前後輪のハブ(車軸)には、垂直の壁に吸い付くためのワイヤーを打ち出す装置があり、オートバイが転倒から下半身を守る横に突き出たガードや、後ろのほうに延びる排気管はピトンを打ち出すワイヤーと干渉することになってしまい、多少、実車とは配置を変更する必要が出てきました。
インディアンとノートンが80%くらい完成したところで、夜は、主人公と、主人公が寝てた垂直の壁に吊るしたテントを描き始めました。
いつもは、描いたり消したりですが、今回は効率を上げるため、フォトショップのレイヤー階層機能を使い,別々に描いています。このあたりは、ペインターではどうしても動作が遅く(重く)なり、両方のソフトを使い分ける必要があります。昔と比べてフォトショップの筆でもそこそこ絵が描けるのでありがたいです。
手前のインディアンと女性。奥のノートン。
その中間にテント。テントのこちら側に主人公という位置関係になってます。
女性の顔と主人公はちゃんと見つめ合う感じになったゾ。
途中経過をブログで公開しながらの作業ですが、完成形が自分なりに満足できるものになりそうなことが確認できてほっとしています。
これだけいろいろ解説などしてきたあとに、出来上がった絵がつまらなかったりすると、SFマガジンを買ってくれる読者にもうしわけないし。
垂直世界8 死の壁を走るインディアンからのつづき
最初から読みたい方はこちら
イラストレーターによる『イラストめいきんぐ』のカテゴリーの連載でありながら、絵を紹介できないまま連載を続けることになってます・・・。
今日は、主人公が乗る、サイドカー付きのノートンのオートバイのサイドカーを途中まで描きました。
インターネットの画像検索では、オートバイ単体ならばピッタリの向きのぴったりな画像が見つかったのですが、サイドカーは残念ながらそうではなく、色々な向きの複数の写真を参考にしながら、オートバイ本体の向きに合わせて頭の中で角度を変えねばなりませんでした。これがけっこう難しい。最初、僕はもっとサイドカーはコンパクトなものだと思っていたのですね。ノートンの車体が大きく隠れてしまうことがわかりましたが、でも逆にエンジン部分を描かなくて済むから作業が楽になったともいえます。
ここで素朴な疑問。
こんな大きなものを脇にくっ付けて、オートバイは真っすぐに走れるの?
そりゃ、実際に走っているので、走れることはわかっているのですが、その理屈が知りたいなあ。あとで検索してみよう(僕のおじいちゃんは、サイドカーにおばあちゃんを載せて走り回っていたそうです)。例えば、自転車は、車軸(ハブ)さえフレームと正確に垂直に付いていれば、後輪が多少横にズレていても真っすぐに走ります)
次ぎがインデアインに乗る女性です。
今回はこの女性が絵のメインテーマのひとつ。ここが上手く描けないと、絵全体が台無しになります(オートバイはメカなので、大きく失敗することはないだろうし、そんなに心配はしていない)。
この連載の最初のほうを見ていただければわかりますが、ノートンに乗る主人公と、今回絵に描くインディアンに乗る女性は向かい合う位置関係にあります。
最初は女性の顔を描きたかったのですが(女性の顔を絵に描くのが好きなのです)ノートンは、全体の形が整い過ぎており、垂直世界を走り回るメカニズムを「描き加える」のには向きません。やっぱりインディアンのほうが、改造の「し甲斐」がある。こちらを手前に大きく描いてそれを読者に見てもらいたい。
そんな風に、いろいろな要素を考えていくと、選択肢はあんまりありません。
子供が生まれてすぐに母親の顔を見わけられるように、人は人の顔に対して特別な興味を持つ。それは画家もおなじで、正面や斜め横の顔は、絵に描くことも多く、慣れているのですが、向こうを見ている顔は、とっても難しいのです。
描いては消し、描いては修正して何とか描き上がったのは夜の10時過ぎ。
いちおう気に入った顔になったのですが、そこで問題が。
小説の描写よりは、だいぶ若い顔になってしまっていたのでした。
ぼくが女性の顔を描くときは、ほとんどいつもぶっつけ本番で描いていくので、小説家がよく悩むように「登場人物が、作者の手を離れて勝手に動き出す」みたいなことが度々起こるのですよ。そして今回も。
幸い、ぼくはデジタルで絵を描いているので、一度完成した顔を、上から塗りつぶしていっても、元の絵はハードディスクにバックアップが取ってあるから(数時間かけて描いたその作業時間は無駄になってしまうけど)変更するのに躊躇することはありません。あらたに描き直すことにしたのでした。もっとも肌の色合いなどは、元の絵(顔)が生かせるので、うまくいけば、最初よりも早く描き上がることも多いのですが。
そして、少し歳上の女性の顔が完成したのが、11時半。
やったー。
女性の身体のほうもうまくいったような気がします。
この女性は、「垂直」の世界で生まれ育ったせいで、横方向のGに耐えて垂直の壁を歩き回るだけの筋肉をそなえているという設定ですが、僕はこの女性の身体をけっこう細めに描いていて、さてどういうふうに筋肉を描写しようと悩んでいたときに思い出した映像が。
いま来日中のバレリーナ。ボレロを踊っているニュース映像が頭に浮かんだのです。
これだー!
垂直世界10 垂直世界の交通網につづく
(イラストの公開はSFマガジン2012年1月号で)
この連載も次で二桁に突入であります。
垂直世界7 コスチュームデザインからのつづき
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『垂直世界の戦士』を、今度は、杉並区の図書館で借りてきました。
中野区の図書館でそのタイトルに引かれて読むことになったジーターの『垂直世界の戦士』
読み始めたら絵にしたいシーンばかりで、読み終えた後に「どうしても絵にしターーイ」とツイッターでつぶやいて、最終的にSFマガジンの2012年の1月号、巻頭ギャラリーページでの掲載が決まったのですが、そのときには本の返却日が近づいており、貸し出し期間の延長手続きをお願いするよりは、どうせなら近所の(杉並区の)図書館で借りようとネットで検索したら、南荻窪図書館にあることがわかり、早速借りにいこうと考えたその日が、なんと休館日だったことが判明。それじゃあ、ってんで、練馬区の石神井図書館に。
普通は、各区内に何冊ずつかあるものなんですが、『垂直世界』は1冊ずつしかなかったのでした。
・・・というのが前回までのあらすじ。
というわけで石神井図書館に行ったら、今年の星雲賞(海外長編部門)を受賞した『異星人の郷』の対抗馬だったらしい『時の地図』(上下巻)があるではありませんか。2冊目の『垂直世界の戦士』と一緒に借りてきたわけなのでした。
この『時の地図』がなかなかの傑作で、『垂直世界の戦士』の絵は描きつつも、つい『時の地図』を読んでしまっていたのでした。
そして、『垂直世界の戦士』の絵の構図も決まり、いよいよ細部の書き込みのために、借りてきた2冊目を読もうかな、でもその前にやっぱり『時の地図』を最後まで読んでしまおう、そうすると、イラストを描き上げる前に返却日がきちゃいそうだな、それなら念のために、今度は、休館日で借りられなかった南荻窪図書館に行って前もって借りておこうと、昼過ぎに3冊目の『垂直世界の戦士』を借りてきたのでした(ついでに、同じジーターの『ダーク・シーカー』も)。
そして夕方帰宅して気付いたのです。念のためどころじゃない、その日が、2冊目の『垂直世界の戦士』と『時の地図』の返却日だったのでした。
慌てて『時の地図』をなんとか読み終え、練馬区の図書館へ。
そしていま、無事に、新たに杉並区の図書館で借りた『垂直世界の戦士』を読み直し、絵に描くための描写を詳細に洗い出してるところです。
ノートンのオートバイは車種がしっかりと書かれておりました。
ノートン850インターステート。僕の好みからはちょっと新しすぎるけど、作者が自分の作り上げた世界の主人公にこのオートバイを使わせるのにはそれなりの意味や理由があるのでしょう。
インディアンのほうは具体的な車種を記述した箇所は(いまのところ)どうやら出てこ無さそうなので、画像検索中に見つけた「木製の円筒の中の垂直の壁をぐるぐる回るサーカスなどのアトラクション(←動画にリンクしてます。音量がでかいかも。ボリュームに注意*)で使われたというインディアン」をモデルに書く予定です。僕の好みの細いパイプのトラスフレームにメカむき出しの、とっても旧いタイプなのですよ。
今後読んでいくうちに、かりに別の車種であることがわかったとしても、ここは「垂直の壁」つながりでこのインディアンでいきます。
ひょっとすると、作者もこのインディアンから小説の世界の啓示を受けたのかもしれないし。
垂直世界9 女性の顔を描くにつづく
(イラストの公開はSFマガジン2012年1月号で)
*僕が子供の頃、毎年、巡業で廻ってくるサーカスにも、このアトラクションがありました。なつかしいなあ。