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2015年7月22日 (水)

honto pocket版 『グイン・サーガ全集』の仕事

 大日本印刷が発売を予定している『全集型電子書籍端末』honto pocket版グイン・サーガ(プレミアムパッケージ)のための絵を描きました。
 
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今回はそのメイキング。
 
 最初に早川書房からお話があったときには、
「パッケージにグイン・サーガ第一巻『豹頭の仮面』のカバーイラストの複製原画(大日本印刷が得意とする何か特殊な印刷方式)を特典として封入したいので、その使用許諾を」
ということだったのですが、その企画書や届いた商品見本を前に、ちょっと思いついたことが。
 
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 僕は、自分が好きな本の表紙や挿絵を描きたくて今の職業を選んだのですが、今回はhonto pocketという電子書籍端末が「本」にあたります。じゃあ、いっそのこと端末に絵を印刷しちゃうのは?  今は曲面にだって印刷できる時代なんだし。
 でも、そこで更に考えました。印刷するよりも、端末に直接、絵を描いちゃったらどうなんだろ? サイン会で色紙やシャツや、時にはギターにまで、絵やサインを描いたりしたことだってあるし。
 問い合わせたら、それは面白いかも、と、この話が始まったのでした。

 さっそく見本(といっても、パソコン上でシミュレーションしたもの)を作って大日本印刷へ ↓

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 顔を黒く塗りつぶしたのは、細い線で描くと失敗できませんが、面で描いていけば、多少失敗しても修正できちゃうんですね。
 マーカーだけだとモノクロの絵になっちゃう。装身具に色を付けたらどうかな? でも絵の具だけだと色が落ちちゃうかもしれないから(端末は常に人の指が触れますから)樹脂を溶かす器具(フィギュアの造形に使うものを以前買ってあった)でちょっと溶かすように絵を彫り込んで、その溝部分にアクリル絵の具を流し込んで・・・みたいにアイデアがどんどん出てきます。 
 
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ボタンの下に剣の絵を彫り込んで、というシミュレーション
 
 端末の材質はPC+ABS(ポリカーボネートABS樹脂)。マーカーで直接描いても、材質によっては簡単に絵が削れちゃう可能性があるので、表面にコーティングする事は可能なのかどうか?
 僕にその知識は無かったので、ツイッターでフォロワーの皆さんに質問してみました。そしたら、オートバイに乗る友人から、ヘルメットに絵を描いたときなどに使う、擦っても取れないくらい強いウレタンクリア塗装があるんだって。
 マーカーだけでなく、僕が愛用しているアクリル絵の具を使った場合も大丈夫かどうか、大日本に、クリア塗装した見本も用意してもらいました。
 そしたらマーカーはもちろん大丈夫だったのですが、何と アクリル絵の具でも、それもけっこう厚塗りでも大丈夫っぽいことがわかりました。
* 樹脂を溶かして「絵を彫り込む」っていう方式は、端末内部にダメージを与える可能性があったり、僕が器具の扱いになれてなくて(出来が悪かった)反応はいまいち(けっきょく没になりました)。
 
 さて、下書き開始。
 でもこれが、なかなかキツい作業なのね。今回、絵柄が二種類。つまり同じ絵を10枚か描かねばならないのだけど、5枚くらいでもう気力が尽きてくる。 
 
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 途中休憩を挟んだりして、完成までにまる一日かかりました。 
 
あとは一度、彩色見本を用意して見てもらい   ↓
 
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 「もう少し絵の具を厚く塗ったほうがいいかもしれません」と返事があり、いよいよ彩色です。これには二日ほどかかりました。鉛筆での下書きは神経を使いますが、色塗りのほうは(数が多いことを除けば)いつもやってる作業ですから、これは簡単に進みます。アルミの粉末を混ぜた金や銀、黒鉄色を盛り上げたら(乾くのに時間がかかりますが)重厚感も出て、なかなかいい感じに仕上がりました。
 
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 あとは、実際に端末にこの裏蓋を固定した写真を用意してもらって紹介したいと思います。

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