アニメのメカ設定を「絵」ととらえたら
イゼルローン要塞の司令部をデザインした日 からのつづき
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僕はアニメーターではないので、線だけでメカを描く(描写する)ことは殆どない。
「メカ」はあくまで、イラストの中に描き込む素材であって、だから、絵に描く場合は、「向こう側」なんて考えないし(輪郭部分を描写するために少しだけ考えることはある)描いているうちにどんどん形が変わってしまう場合もしょっちゅうあるから、どうせ消えてしまうのだからと下書きすることもしない。でも、20代の最初。仕事を始めたばかりの頃は違っていた。
『宇宙戦艦ヤマト』は、主に松本零士さんのデザイン画を仕上げる作業がが中心となった(いくつかの例外は、ヤマトの第三艦橋の中やガミラス戦車などだ)。なるべく松本さんの「描線」の雰囲気を残すようにしていたから、強弱を付け「味」のある線を心がけるようにしたが(とっても勉強になった)、僕が目指す仕事は、本の装画や挿絵だったから、鉛筆で描いた絵が公開されることは無くなっていった。
そういうわけで、アニメ『銀河英雄伝説』のメカニックデザインは、僕にとっては、久しぶりでもあり、とても珍しい仕事となった。アニメになることが前提なので(ヤマトの仕事で、味のある線はかならずしも求められていないことを学んだから←線を仕上げるのは、原画や動画を担当する人たちの仕事)「線」は彼らの参考になればいいと、なるべく線の表情を消し去るようにした。曲面の表現も少なめの斜線だけ。だから画材には芯の太さ0.5ミリのシャープペンシルを使った。 仕上げた設定画はスタッフに配布するためにいったんコピーされ、線の「味」はここでほぼ消滅する(時にはアニメーターが書き直すこともある)。
電子画集で公開する意味がここにある。高解像度のカラー画像で収録すれば、決して公開されることがなかった、当初の、幾分、無表情でもある線を、そのまま見てもらうことが可能になるのだ。
収録ページ数に制限は無いから、さらにもう一つの要素を付け加えることにした。
メカデザインの発注は、脚本が出来たタイミングで僕のところに来る。時にはそのあとで脚本が変更になり、いくつかのデザインは変更することになったりした。
そんな一つが、ガイエスブルグ要塞の硬X線砲である。
ガイエスブルグ要塞そのものののデザインはイッパツで決まったが、硬X線砲の形状や配備された位置はコロコロ変わることになった。
没になった絵も含めて描かれた(考えた)時系列で画集内に並べることにより、どのようにデザインが変わっていったのか。その過程も、メカニックデザインなのだ。
それが、設定画集アプリの最初の構成案。
構成作業も三分の2くらいが終った頃、思いついたことがあった。
ひと月前に発売されたiPhone・iPad『時空間画抄』『グイン・サーガ』画集では、過去の絵を、今の自分の技術で加筆したらどうなるかというテーマに挑戦することになった。
では「銀英伝』ではどうだろう。
当時の、線で描いたメカを、いま、面で描くとどうなるのだろう?
その一部を紹介する。
(文章は書きかけ)
没になった硬X線砲のアイデア▼
ワルキューレ パイロット ヘルメットのデザイン▼
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