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2011年10月 5日 (水)

日本の甲冑(番外編)

 パワードスーツの項目に含めて書いてきた「日本の甲冑」ですが、今回はちょっとお休みをいただいて、絵に描かれた鎧について書いてみたいと思います。

 もともと、僕が、今の仕事を選ぶ切っ掛けになった小説『火星シリーズ』(E・R・バローズ著←ターザンの生みの親です。東京創元社)には、剣を帯び、鎧に身を固めたヒーローが登場します。
 そのイラストを担当したのが武部本一郎さん。
 武部さんはその卓越した描写力であらゆるテーマをこなす挿絵画家でしたが、大人向けのSF作品に起用されたことで、瞬く間に世界中のバローズファンを魅了することになります。
 そのSFやファンタジーの世界には、モデルがありました。
 19世紀後半から20世紀前半にヨーロッパやそしてアメリカで流行した、象徴派やラファエル前派の画家たちの絵です。象徴派やラファエル前派の絵には、美女だけでなく、甲冑を着けた騎士が度々登場します。武部さんは、「日本で」そんな絵を現代に蘇らせたのです。
 武部さん以前にも、黒田清輝など「白馬会」の大正時代の画家たちが、ラファエル前派を受け継いでいますが、昭和では武部さんが、(僕の知っている範囲では)最初で最後でした。

 ラファエル前派以前にも、多くの画家のパトロンだったヨーロッパの王族や貴族の肖像画として、豪華な衣装や甲冑を纏ったものがたくさん描かれましたが、そこにはあまり美女が登場しません。
 武部さんの絵を出発点として、ぼくがラファエル前派の絵に行き着くのは必然だったのだと思います。

 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
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iPhone・iPad画集『Waterhouse HD』

 武部さんが亡くなった後、僕は武部さんが担当していたファンタジー作品のシリーズの絵をいくつか受け継ぎましたが、その趣味を、そのままSFの世界に持ち込み再現したのが、パワードスーツやロボットなどの小道具なのでした。

 中身の制限があまり無いロボットと違って、人間が「着る」パワードスーツは、どこまでも人間の身体を守りながら且つなるべく自在に動くための機能や制約があり、過去にじっさいに使われてきた甲冑が参考になるわけで、それがここ一連のブログの連載に結びつきました。

 それはなにもイラストの世界だけでなく、同じように現実の軍事産業でも必要とされていますから、同じ発想で作られたそれらの製品は、イラストを描くときにも多いに参考になるのですね。

 ディスカバリー・チャンネルで見た「現代の甲冑」。ドラゴンの鱗の意匠を持つ防護服(胴部分以外はテキトーにアレンジしてあります)▼

05s


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コメント

こちらでははじめまして。まさか加藤先生の絵で見る事が出来るとは思いませんでした!
現代の戦闘服と上手く折衷している感じで雰囲気が伝わってきました。ありがとうございます。機能美って言葉もありますが、機能や理由に納得できるのが良いですね。
今後の連載も楽しみにしています。

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