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2011年10月21日 (金)

垂直世界2

垂直世界1からのつづき

 原書のカバーアートは、もし僕が,この仕事を引き受けていれば、僕も描いていたかもしれない構図に非常に近いものでした。

 垂直の壁からぶら下がった主人公をメインに据え、でも遠くに浮かぶ風船エンジェルを画面に入れるには、もうこの構図しかないのです。

 違っていたのは、原書のほうは、オートバイが遠くに小さく描かれていることと、壁の表面の描(えが)きかたですね。

 実は、オートバイが壁を移動するためには二種類の駆動メカが使われており、その一つである、太いケーブル(アメリカ、ロスアンゼルスのケーブルを使った交通システムに酷似している)が、原書のカバーには描かれていません。

 オートバイも、遠くのほうに,見えるか見えないくらいに描いてあるだけなので、このアーティストの興味は、あまりメカには向いていないようです。

 同じく、遠くに見えるサイボーグ戦士も、デザインは見た目が貧弱かな。小説では、もっとおどろおどろしいのですが。

 小説のカバーイラストを描く時、いつも悩むことがあります。いちばん「絵」になるシーンは、「ネタバラし」に繋がりかねないということです。幸い、僕が今回、描くイラストにそんな心配はなく、自由に描くことが出来ます。それでも、インディアンに乗った女性と、サイボーグ戦士は、物語の設定上、同じ画面に描くわけにはいかず、どちらかを諦めるしかありません。ぼくはオートバイを選択したのでありました。


06s

 次に考えねばならないのが、手前のオートバイ(ノートン社製)の向きです。

 遠い側のオートバイは、壁に垂直に立った女性を、「 顔が見える 」ように描きたかったので、向きも自動的に決まりましたが、手前側、主人公のオートバイはまだ決まっていません。オートバイの傍にいる(またはオートバイにまたがっている・またはオートバイに乗り込もうとしている・オートバイからはなれて壁にへばりついている)が、ここで何をしているのかが決まっていないからです。絵の横方向が垂直でありながら、重力の方向が、絵の「下方向」にあることを、直感的に、この主人公のポーズで、読者に伝える必要があるので、ここは吟味して、こだわって、仕上げる必要があると感じているからです。

垂直世界3につづく


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