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2011年9月20日 (火)

日本の甲冑 3

日本の甲冑 2からのつづきですー


 さて今回は、甲冑の背中に固定する「旗」のことを書いてみたいと思います。

 甲冑に着替え始めた皆さんの写真を撮りながら気付いたのが、どの甲冑の背中にも不思議な形をした金具が付いていること。

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 その意味するところを理解できたのは、全員が甲冑を付け終わり隊列を組み始めた時。おもむろに、皆さんその金具に旗竿を固定し始めたのです。

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 そういえば日本が舞台の合戦シーンでは、兵士は背中から旗が上に延びていますが、その方法までは、僕はこれまで、それこそまったく意識したことはありませんでした。僕が大好きで、見たり読んだりしてきた西洋やファンタジーの世界に登場する合戦では、旗竿は腕で持ちます。つい最近も、iPhone・iPad版『加藤直之グイン・サーガ画集』のために、そんな絵を描いたばかりでした(コミック版グイン・サーガのカバー第6巻の絵は、作業途中で没にした絵が2枚あり、そのうちの一枚を、画集のために少しだけ加筆したのです)。

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 西洋では(ファンタジーはどうなのかな?)旗を受け持つ専任の兵士がいて、兵士はその旗を、それこそ命をかけて守ります。帰属する国や城主や部隊の象徴なのですね。バーナード・コーンウェルの『炎の勇者シャープ』シリーズでも、敵の旗(ナポレオン軍の『鷲(イーグル)』)を奪うことは非常な名誉とされており、それがテーマになった巻まであるくらいです。
 しかし、日本の兵士が背中に付ける旗は、見た目も、重さも、そして意匠も違います。その理由がわかったのは、演武すべてが終わり、川越藩鉄砲隊の寺田会長(敬称略)が、その旗の意味を会場のお客さんに説明してくれたからでした。
 川越藩鉄砲隊の旗は、兵士ひとりごとに意匠が異なっています。戦場の混乱の中で、敵味方の識別装置の役目を果たす際、部隊だけでなく、特定の個人まで見分けることが出来る旗だったのです。そして保存会では、隊員は正会員として認められた際に 会長から会名をもらい、その会名とそれぞれの家紋を入れた旗を使うことが許されるのだそうです。唯一の例外が、本陣にいる指揮官です。指揮官の甲冑の背中にはこの金具が付いていません。

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 この方式により、部隊の指揮官からだけでなく、兵士の妻や子供からも、自分の夫や父が、戦場のどこで戦っているのかを知ることが出来るということでした。なかなか興味深い話ですね。
 ついでに、ぼくが『宇宙の戦士』のパワードスーツのデザイン監修をした時のエピソードも紹介しましょう。アクジョンフィギュアを出してくれた海洋堂や、プラモデルを販売してくれたウェーブから、パワードスーツ用のデカールのデザインはどうするかの質問を受けたことがあります。『宇宙の戦士』の機動歩兵は、戦場では互いに数キロ離れた距離で部隊を展開します。その時の識別用の番号やマークは、肉眼ではわからないほどの距離にいるだろうから、そんな番号やマークは必要ないだろうし、あるとしても敵から見えない「背中」だけにペイントするようにとお願いしました。
 それ以外は、機動歩兵が降下前にパワードスーツに乗り込むときに、自分のスーツが判別できればいいわけです。とくにリコが指揮を執ることになる小隊は、華美な演出を嫌いますから、なおさらですね。

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コメント

第三段楽しみに待っておりました。
旗(差し物と言います)は、家紋の色が3色(赤・黒・緑)あり位により違います。差し物でその人の名前や位(肩書)もわかり、いわば名刺ともいえるものです。
また会長の差し物は家紋ではなく、我々獅子の会のシンボルマークである逆さ獅子を描いたものとなっております。

そう、日本の甲冑1 で記載があったインナーウェア 何と呼べばいいかワカラナイとおっしゃっていたものですが、鎧下と言います。

また先日、当方が撮影しました靖国神社演武の写真を当会ホームページに掲載しましたのでご覧頂ければと思います。

 こんにちはー。ツイッターでこの金具の名前を教えてくれた方がいて、其の名前で検索してみましたが、甲冑も奥が深いですね。何ヶ月か前に、サイクリングの後、金庫の博物館(個人で運営)の見学もしましたが、歴史よりもその構造を作り出す時代の背景などにどうしても興味がいきます(ほんとうにまじめに考えると、何も絵に描けなくなるので)。
 甲冑の場合は、いかに戦い、防御するか、かな。今回でスケッチは完成。これからは写真も参考に仕上げていきたいと思います。

肝心のこの金具の名前を書いていませんでした。

「合当理」「合足」(がったり)

であります。
なんとも不思議な名前(漢字)だなあ。

はじめまして。私は「宇宙の戦士」のパワードスーツが大好きです。WAVEのプラモも、海洋堂のフィギュアも買いました。
私の考えは、「宇宙の戦士」のパワードスーツを中心に、色々なパワードスーツ系も楽しむと言う考えです。
マシーネンも大好きですし、「終わりなき戦い」のコンバットシェルもかっこいいです!ただ、今カバーイラスト変わってしまい、残念です。
WAVEから製品化して欲しいなぁ。鎧と言うブログテーマにそって、コメントすると、実は今「サムライトルーパー」にハマってまして、あの鎧ギアが大好きです。日本美最高!これも、パワードスーツ系ですしね。
加藤先生の方から、コンバットシェル製品化の企画を、どこかの会社に持ち込んで頂けないでしょうか。宜しくお願いします。

こんばんはー 日曜日は一日サイクリングでした。

サムライトルーパー、検索してみました、ずいぶん昔の作品なんですね。
アニメは殆ど見ないので(繰り返し見たのは『ハイジ』と『コナン』くらいなので。そーいえば、「エースをねらえ!」も好きだったなあ・・・)知りませんでした。

コンバットシェルは、fgで実際に作ってくれた方からその見本をいただいたので、それを参考にしつつ、WAVEのパワードスーツとと同じ縮尺で自分で立体に作ってみる予定です。その骨組みとなる自作の人形もレジンで複製済み(人形を土台にエポキシパテを使ってスーツの肉付けをします)。

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