画集アプリの視覚化表現3 スカイラーク
今回つくってみたのは、今までとまったく逆のパターンです。
1967年から68年にかけて(つまり40年以上前に)東京創元社から発売された『スカイラーク』シリーズ全4冊の装画、カラー口絵、モノクロの挿絵の「原画」を収録したミニ画集アプリです。
文庫本でたった4冊分。それも、原画の多くが所在不明になっており、通常なら点数が少なすぎてとても画集など作れません。書店に並ぶ本にはそれなりの厚みが必要だからです。しかし、電子画集なら大丈夫。さらに、印刷コストなどを気にすることなく、モノクロの挿絵もすべてカラー画像で紹介できますから、黒でもいろいろあるインクの色合いの違い、ペン先が紙に食い込んだ跡、絵の具の盛り上がり、絵を印刷するときの手書きの文字、紙の黄ばみ、紙が一部折れ曲がったり、修正用の絵の具が剥離したり(金森さんが自分で削り取っている場合もありました)切り貼りした部分まで見て取ることが出来ます。
原画の撮影ではわざと照明を片側だけから当て、絵の表面の絵肌(マチエール)を再現しています(自分のデジタル一眼レフカメラで行いました。照明の反対側が暗くなるのは、コンピュータで補正してあります)。
挿絵には、保護のためトレーシングペーパーが糊付されていました。剥がすことは不可能です。そこで、これも原画の情報と捉え、画集に収録することにしました。ただし、アプリを起動しただけでは表示されません。左上のインフォメーションアイコンをタップしたときと、画集をカタログモードにしたときに画面の右下に表示される砂時計アイコンをタップした場合にのみ、表示されます。今回作った画集の『視覚化表現』では、青い枠が付いたものがそれです。
アプリの後半は、絵の一部を、マクロレンズで撮影したものです。普通は、美術館でしか見る機会のないような細かい部分。絵全体を観賞するのとは少し方向性が違いますが、絵の成り立ちを知る上ではとても大事な情報です。
アプリでは、作品はすべて、かなり拡大できるような画質で収録はしてありますが、金森さんの絵は、さらに近づいてみたくなるようなマチエールがそこらじゅうにあったので、この方法を取りました。40年以上も前の絵ですが、アナログならではの魅力が溢れた絵でもあります。ぜひ、ダウンロードしてお楽しみください。
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